有名過ぎるほど有名な言葉。これだけ苦しんでるし、夜明け前が一番暗いん だからきっともうすぐ夜明けだ!って楽観的に考えても、状況が深刻化し更なる暗黒の闇 に突き落とされたことが何度かある。落ち込んでる友達を励ますつもりで「夜明け前が一 番暗い、って言うだろ?」って言ったら、「なぜ今が一番暗いってわかる?」って切り返 されたこともある。夜明け前が一番暗い…。かっこいいセリフではあるんだけど、この言 葉は使い物にならない、と何度も思った。でも、結局、人生の夜は必ず明けてきた。そし て、確かに夜明け前が一番暗かった。何度裏切られようと、僕はこの言葉が嫌いにはなれ ない。
2011年4月25日 asa
2009年1月に公開された映画「禅 ZEN 」の中で、中村勘太郎演ずる日本曹洞宗
の開祖、道元禅師が口にしていた言葉。道元の悟りの境地を端的に表現すればこうなるの
だろう。
道元は乱世の鎌倉時代を生き、疲れ果てた人々の心を支えた。
「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」
歌人でもあった道元の句で、映画の中にも出てくる。悟りの和歌とも言われているらしい。
残念ながらこの歌をここで解釈してみせるほどの力は僕にはない。ただ、この世のすべて
はあるがままだということはわかる気がする。人の心のみがそれを受け入れない、あるが
ままを許さない。僕も含めて。映画の公式サイトのトップページに添えられた言葉は、
「喜びも苦しみも涙も…。あるがままに。」
季節が様々な風景を見せながら移ろいゆくことに理由を探しても意味がない。人にも、過
酷な人生の起伏を、心を乱さず受け入れる力が秘められていると信じたい。
2011年4月25日 asa